その森と出会ったのは、いつだったろう。

山を始めて間もない頃。夏の終り。
テントを担いで3泊4日の単独行。

ほぼ誰にも会わない静かな山域。
2日も黙々と山を歩いていると、自分が人であることを忘れていく。

2日目の夜は小さなコルで過ごした。
前夜の避難小屋が快適すぎた。
眠りすぎたせいか、その日はなかなか眠れなかった。


月の明るい夜だった。
口笛を吹くと、鹿が応えて鳴く。
一緒に歌って過ごした。


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